倉本聰さん原作脚本、〜北の国から〜’92巣立ち で、田中邦衛さん演じる黒板五郎が中ちゃん(地井武男さん)に長渕剛さんのあの歌【西新宿の親父の唄】の一節「やるなら今しかねぇ やるなら今しかねぇ 66の親父の口癖は・・・」と独特の言い回しで唄う名シーン。
五郎さんは石の家と帰郷する子供たちのための井戸掘り、自分はお米づくりのために井戸掘り。用水路に頼らず自作の井戸(地下水)で米をつくりたい。人力で地球に穴をあけて水を取り出す。でも本当に水が出るのか?、出たとしてもどんな水がどれだけ出るかはやってみるまでわからない。もし出なかったら場所を変えてまた一から掘り直しとまるで子供時代の宝探しのようです。ヒーロー戦隊・秘密基地・探検・宝探し・根性試しなど・・あの頃の遊びの延長として昭和生まれの男子ならきっとこの気持ち共感してもらえると思います。そう、井戸掘りは壮大な男子のロマンなのです!
稲作オフシーズンの今こそ大チャンス、だから・・やるなら今しかねぇ
稲作はえげつないほどの水が必要な農業だ
たったお茶碗一杯のお米をつくるために一升瓶250本分(450リットル)の水が必要。これが1キロの米をつくるとなるとなんと3.6トン(3,600Kg)の水が必要とされており、さらに田んぼ一枚(一反≒10アール≒300坪)に必要な水の量はなんと恐ろしやおおよそ2,000トン(二百万Kg)から3,300トン(三百三十万Kg)と途方もない水量になります。これだけの水を自作井戸でまかなおうという訳です。工事のやり方的には単管を使った打ち抜き井戸が初心者にはやりやすそうなのですが、これだと48.6mmの直径しかないので、もっと太い穴をあける方法を模索。毎日あれこれ考えた末に直径10センチのオーガで掘り進める方法を選択。自身はポンプすらも使ったことが無くましてや井戸掘りなんて実際に見たことも無く、ゼロのド素人なのでどうなることやら。
ただ、今年中にベテランになれるくらい知識と経験を重ねたいと意気込んでおります。
井戸一号 スタート
近所でも井戸のある人はいますが、聞けば皆さん専門業者に頼んだとの事。仕方ないからネットやYouTubeでしっかり知識を蓄えて、いざ井戸一号の作業に着手。知らない事は本屋に行かなくても自宅で調べができる便利な時代になりましたね。
まずはユンボで2メートル、さらにスコップで2メートルほど掘り下げて長さ4メートルの排水用塩ビ管VU100をセット。
これが直径10センチのオーガ。鋼管パイプとハンドルを付けてグルグル掘り進みます。
掘った土を引き上げるのがとにかく重い。全身をプルプル震わせながら顔を真っ赤にして引き上げます。一度にたくさん掘り過ぎると硬くて重くて大変なのでこまめに引き上げることに。で、初日は順調に6メートル掘り進みましたが、オーガの延長パイプが足りなくなったのでここまで。追加であと4.5メートルを注文しました。
湧き水が出るとオーガでは無理
少しづつ湧き水が溜まりだしたので、先端をオーガからスイコにチェンジ
鉄製の単管パイプと水道管でつくり、中の粘土や砂利が排出しやすいように90度に折れるようにしています。硬くて吸い子で掘れなくなったらまたオーガに付け替えて土をほぐし、柔らかくなったらスイコで取り出すの繰り返し。毎日朝から夕暮れまでこれの繰り返し。誰かが「井戸掘りは根性」って言ってたけど、ホントそう思います。
途中幾度もトラブルに見舞われ、あきらめようかと思う事も何度もでしたが、男子たるものロマンを諦めてはいけない。そんなことでは五郎さんに怒られます。で、その後も掘り続けてなんだかんだで深さ10.5メートルに到達。素人の手掘り井戸は8メートルくらいが限界と言われますので、よく頑張ったと思います。そこで晴れてお祝いにエンジンポンプを購入しました。
KOSHINのハイデルスポンプ KH-50GTです。特徴として吐出2方向のダブルフランジとなっていて、2インチ側は田んぼの水入れに、1インチは農機具の洗浄や果樹園の水やりにと幅広く活躍してもらう予定です。
取水管とポンプを積んで初の水出しへ
ようするにストローを突っ込んで吸い出すという事です。
不純物が入らないようにフタをして
エンジンポンプとの接続口を取り付けました。
水は出てくれるのか?
出た出た出ましたー、なかなかの水量です。お母さんも孫たちも喜んでくれました。しかし、またひとつ問題が!塩ビ管内の水が下へ落ちて吸水が持続しない。しばらくするとまた上がってくるが持続しない。何故だ?
急きょ吸水管に細工したり、長さを変えたり半日ほど試行錯誤を繰り返すがいっこうに改善されず。また悩みがひとつふえた。
人に相談したり、いろいろ調べたりする中で逆止弁(チャッキバルブ、チャッキ弁)の必要性が浮上。これも自身が無知ゆえに起こる事。ひとつひとつ勉強です。で、チャッキバルブなんてこのへんのホームセンターには売ってそうにないのでネット注文し、入荷を待つ事に。これがぜったいに正解かどうかはわかりませんが、あくまでも自身の推測です。
後日、再チャレンジ。チャッキバルブを取り付けて再度の挑戦
あかん!!またもや撃沈!サクションホースの半分くらいまで水は来るのにそこから先へ進まない。ほんの少しチョロチョロ水が出るだけ。チャッキ弁の効果は感じられたもののほかに何があかんのか?またもや自分が無知ゆえの結果(泣)。うーん配管やポンプって奥が深いですなー。また一から熟慮して三度目の正直を狙います。
突然失礼いたします。
大変興味深くホームページを見せていただきました。
熊本で、実家は農家をやっております。私は実家はなれて、別世帯となりましたが高齢の父のことを考えて、週末農業で何とか2反の田んぼを受け継ぐべく農作業に励んでおります。
田んぼというのが、山間部にありまして、毎回用水が足りない状況が続いています。
山から湧き出る水を利用していますので、ほんと、家庭用の蛇口をひねったくらいしか水が出ないのです。
しかも、イノシシ被害も深刻で、電柵で多大な労力を使っています。
こんな悪条件の揃った田んぼではありますが、先人の苦労を思うと無くしてしまうのはもったいないと思ってます。
そこで、質問させていただきたいのは、
最初の段階で、『まずはユンボで2メートル、さらにスコップで2メートルほど掘り下げて長さ4メートルの排水用塩ビ管VU100をセット』とありますが、VU100に穴をあけたりしなくても大丈夫なのでしょうか。
また、掘った穴の底までVU100は打ち込まなくてもいいのでしょうか?
せっかく掘った穴が、土砂で埋もれたりするのではないかと想像しました。
わたしも、現状を打破するためには井戸掘りしかない!と考えています。
ご教示お願いいたします。
永野さま、はじめまして!悪条件の中、稲作本当にご苦労様です。
私はこの記事以降も何本も井戸掘りを行い、何本も失敗も成功も重ねたなかで段々と井戸掘りも上手になり、自分の田んぼや近所の田んぼの持ち主からも井戸掘りを頼まれて今年の夏だけでも10本以上掘りました。ご質問の件、VU100は井戸の枠になる部分で下から2メートルくらいまで5ミリ程度の穴をあけております。もちろん掘った穴の深さと井戸枠はイコールでないといけません。
自身、鉄管の打ち込み井戸や塩ビ管での打ち抜き井戸など、多種多様な掘り方を試しましたが、ゴロゴロ石や硬い岩盤の地層でない限りはエンジンポンプの水圧で掘る方法が最も楽で確実でした。
西川様
稲刈り時期の忙しい中に、早速の返信ありがとうございました。
井戸枠には穴をあける必要があるんですね。そして、エンジンポンプが楽であるということ。
大変参考になりました。
さらに調査研究を進めて、いい報告ができるように頑張ってみます。
お世話になりました!
はい、頑張って下さい。地下水は砂や小石の層に帯水しています。無事に水が出ること願っております。