量を捨てれば、稲作は簡単
2016年の稲作も無事に終了しました。10月の中旬から稲刈りをスタートし、沢山の方々にお米を買っていただき、10月末には早くも完売となってしまいました。私のお米を欲しがって下さるかたが、まだまだ大勢いらっしゃるのにお分けできないのが大変心苦しいのですが、たくさんの方々から「美味しい」とのお褒めのお言葉をいただきまして本当に嬉しく農家冥利につきます。ありがとうございました。

思えば義父から田んぼを引き継いで稲作を始めたころは失敗の連続でした。規模は現在よりもはるかに大規模で、そのぶん売り上げも大きくて収益も多かったのですが、「肥料は苦労を連れてくる」の言葉通り苦労も多く、何よりもやっていて辛いだけで楽しくなかった。

農機具の借金が終わったのを機に大きく方向転換しました。収穫量を求める稲作から味と安全を追求する稲作へと大きく舵を切ったのですが、それからが面白い。稲という植物本来の強さと可能性を信じる、人間が余計なことをしない。どこかのウイスキーのCMでありましたよね、「何も足さない、何も引かない」。まさにこれです。

籾種
農協から混じり気のない純正「ヒノヒカリ」を仕入れる
籾消毒
しない
田植え
とにかく疎植で1本植え
元肥料
与えない。前年の藁と雑草すき込みだけ
中間施肥
様子を見てチッソ分を僅少
穂肥料
与えない
雑草対策
根性。ポカリorアクエリアスを持って、とにかく頑張る
乾燥
三日以上かけてゆっくり、ゆっくり

細かく上げればキリがないですが、超大ざっぱに書くとこんな感じですね。でも収穫を増やすための要素は何一つ入ってません。きれいで美味しいお米を産んでくれるように、その稲が本来持っているチカラを最大に発揮してくれるように、ほんの少し手助けしているだけ。

稲同士の間隔が空いているので風通しが良くて病気にならない。チッソ分が少ないので害虫もつきにくい。だから農薬がいらない。背が低くて腰が強い稲なので強風(台風)でも倒れない。だから苦労少なく、楽しくやってます。

でも、決してこれが完成形ではないと思ってます。「農家は毎年一年生」の言葉通り、稲づくりにベターはあってもベストは無い。今年は今年で気づいたこともいっぱいあるし、反省点もあります。2017年も今年よりもよりベターな方法を模索しつつ、妻とサスケと時々おばあちゃんと息子たちと一緒にスロー農業、スローライフを楽しみたいと思います。